同人誌・ZINEの“伝わる”書体選び
同人誌やZINEを制作する際、フォント選びは作品の印象を大きく左右する重要な要素です。特に、表紙のタイトルや本文の書体は、読者が作品を手に取るかどうか、そして読み進めてくれるかどうかに直結します。こだわりのフォントを選ぶことで、「おしゃれ」「かわいい」「洗練されている」といった作品の世界観やメッセージを、視覚的に伝えることができます。
一方で、フォントの個性が強すぎると、かえって読みにくさを生んでしまうことも。インパクトと可読性のバランスをどう取るかが、魅力的な誌面づくりのカギになります。
本特集では、恋愛 (男女/BL/GL)・ファンタジー・ZINE・詩などのジャンル別におすすめのフォントスタイルを紹介しながら、フォント選びのチェックポイントや、商用利用時のライセンス確認、縦書き・欧文対応の見極め方、組版の注意点まで、実践的な視点で解説します。
あなたの作品にぴったりの書体を見つけて、言葉の力をもっと引き出してみませんか?
目次
ジャンル別おすすめフォントスタイル
恋愛系(男女・NL/BL/GL):繊細さと情緒を引き出す書体選び
一般(男女・NL)向け
物語の幅に合わせて上品で読みやすい定番を中心に。明朝体なら情緒を、サンセリフなら現代性をほどよく添えられ、表紙と本文のコントラストで“王道の魅力”を引き出せます。
BL向け
登場人物の心の機微や親密さを繊細に伝える書体が相性抜群。細部の抑揚が穏やかで、会話と独白の温度差が自然に立ち上がるフォントを選ぶと、没入感がぐっと高まります。
GL向け
等身大のまなざしや清らかな余白感を大切に。過度な装飾を避け、行間に呼吸を残せる端正な書体を選ぶと、友情と恋の機微がすっと浸透します。
恋愛系:おすすめフォントを使った表紙イメージ
恋愛系:おすすめフォントを使った本文イメージ
恋愛系 表紙におすすめのフォント
表紙は、やわらかく見せたいなら明朝体、個性を出したい時はデザインフォントを。タイトルは短めにして字間を少し広げる。章扉・あとがきは手書き風をひと言だけ添える。本文は読みやすい明朝体で統一すると世界観が揃います。
ましゅまろポップ ハート
マシュマロのようにぽってり太め、ぷにっと丸いフォルム。散りばめたハートが甘さと可憐さを一瞬で伝え、ライト~スイート系の恋愛物に最適。太め見出し+広めトラッキングでタイトルが遠目でも映えます。
- Mac&Win対応 OpenTypeフォント
- 半角英数・全角英数・ひらがな・カタカナ・記号・漢字(JIS第一・第二水準・IBM拡張漢字:約6700字)・ラテン文字
左利きの彼女
左利きの作者が丁寧に書いた筆致を収録。細く繊細な線が“親密さ”と“手紙感”を演出し、切ない恋や文芸寄りの装いに好相性。タイトルは大きめ、サブや著者名にも気品が出ます。
- Mac&Win対応 OpenTypeフォント
- ひらがな、カタカナ、英数字、一部の記号、漢字。
漢字はJIS第一水準の2965文字とJIS第二水準からよく使いそうな漢字530字ほど、そして常用漢字、人名漢字を収録。
DS潮風 (DS-Shiokaze)
軽やかで爽やかなデザイン書体。波や風のニュアンスが、清々しい恋の空気感を直感的に伝える一本です。写真表紙の上でも邪魔せず世界観を底上げ。副題は細サンセで抜け感を足すと上品にまとまります。
- Mac&Win対応 OpenTypeフォント
- デザインシグナルセレクト版収録文字数 全3,809文字
【第一水準2965文字+第二水準444文字+仮名.約物.アルファベット400文字】
恋愛系 本文におすすめのフォント
恋愛小説は読みやすさ最優先。本文はまず端正な明朝体で土台を作り、やわらかい雰囲気を足したい章はS明朝ソフトW3に切り替えると、会話も地文もすっと入ります。ヒラギノ角ゴW1は本文ではなくリード・副題・キャプションに限定して“繊細さ”をプラス。
イワタ明朝体オールドStd
活字由来の端正さで小さめサイズでも崩れにくい明朝体。縦組みの行間リズムが整い、会話と地文のメリハリも自然。迷ったらまずこれ、長編本文の定番です。
ヒラギノ角ゴ Std W1
極細W1の繊細さは、現代詩や掌編のリード・副題・キャプションに最適で、余白多めのレイアウトで静かな緊張感を作れます。
S明朝ソフトW3
角をやわらかく処理した目に優しい明朝体。網点でも痩せにくく小級数に強いので、会話多め・抒情文体の小説に好相性。読みやすさ重視で雰囲気も保てる一本です。
恋愛系 あとがき・装飾用におすすめのフォント
章扉やあとがきに少しだけ装飾書体を添えると、作者の声と温度がふわっと立ち上がります。メッセージ風の短文に一匙だけ使うのがコツ。本文は可読性重視の明朝体で分離すれば、読みやすさはそのままに、“あなたらしさ”と読後の余韻を自然に足せます。
Fancy Star Script
レトロでポップな筆記体。17種の異体字を使い分けることで、同じ語でもニュアンスを調整可能。帯コピーや章題のサブ、署名風の一文にアクセントとして一匙添えると、読後の余韻と“作者の声”がやさしく届きます。
DSありんこ (DS-arinco)
入り・止めに手書きの筆圧が残る味わい。硬さが出にくく、メッセージ風の短文やコラム枠に向きます。小さめサイズでも表情が残るので、あとがきの一文や見出し横の注記に使うと、親密さをそっと足せる書体です。
かもめ明朝
築地四号系の金属活字から着想。ふくよかで温かみのある明朝体で、透明感よりも“柔らかな余韻”が持ち味。章扉のひと言や巻末の挨拶に少量使うと人肌のニュアンスが自然に立ち、本文明朝体との相性も良好。
ファンタジー・創作系:物語世界に没入させる個性的デザイン
ファンタジーやオリジナル創作系の作品には、読者を物語の世界観に引き込むような個性的でデザイン性の高いフォントが効果的です。
ファンタジー・創作系:おすすめフォントを使った表紙イメージ
ファンタジー・創作系:おすすめフォントを使った本文イメージ
ファンタジー・創作系 表紙におすすめのフォント
世界観を一瞬で伝えるなら、“象徴性の強い見出し+控えめな副題”が近道。ドラミンで儀式・紋章の輝きを、方縦Kで古代記号の硬質さを、AFWeddingText2で読みやすいブラックレターの格を添えて、短い語を大きく・字間はやや広めに。副題は細めサンセや端正な明朝体で温度差を作り、サムネでも直感的に“ファンタジー”と伝わる表紙を狙いましょう。
F1000-ドラミン F2 Regular
ダイヤ形の装飾が目を奪うデザイン書体。儀式・紋章・宝石のイメージを一瞬で喚起し、ファンタジー表紙の世界観提示に最適。短いタイトルや固有名詞を大きく、字間はやや広めに。副題は細サンセや端正な明朝体で温度差を生み出します。
- Mac&Win対応 OpenTypeフォント
- FONT1000 標準漢字セット:実用的な文章表現向けに厳選した2,286文字を収録。
→ 詳しくはコチラ
F1000-方縦K F2 K250
方眼系の骨格をもつ角張ったデザインで、“符文/古文書/遺跡”の記号性が立つ一本。縦線を強調した構造が硬質で神秘的な雰囲気を生み、記号や紋章と並べても負けません。副題は細サンセで抜け感を足すと、表紙の情報設計が締まります。
- Mac&Win対応 OpenTypeフォント
- FONT1000 標準漢字セット:実用的な文章表現向けに厳選した2,286文字を収録。
→ 詳しくはコチラ
アメコミ古文書欧文 AFWeddingText2
グーテンベルク系の読みやすいブラックレター。Ô/Ōなどの拡張も備え、英題・副題・架空文書風テキストに最適です。金箔・エンボス・マットPPとの相性が良く、和文タイトル(明朝体)+欧文サブを本書体にすると、古文書×ハイファンタジーの佇まいが一気に決まります。
- Mac&Win対応 TrueTypeフォント
- 1Byte 欧文・数字
ファンタジー・創作系 本文におすすめのフォント
本文はまず読みやすさが最優先。
イワタUD明朝RかなBは小さめでも輪郭が保たれ誤読を抑制、ヒラギノ明朝W3は筆致の抑揚で情景と会話を素直に伝え、JTCウインS1は清潔な骨格で視線を流しやすい、いずれも長編の縦組み向きです。
ヒラギノ明朝 StdN W3
シャープさと筆致の美を両立した定番の明朝体。起筆・収筆が情景描写や会話の抑揚を素直に伝え、写真・地図のキャプションとも馴染む。A5本文10–10.5pt+行間1.6倍で可読性と品位を両立できます。
イワタUD明朝R かなB Pr6
UD設計の明朝体に、線の通った現代的な「かなB」を合わせた本文向け。小さめ級数でも輪郭が崩れにくく誤読を抑制。縦組みでの行間リズムも整いやすく、長編でも疲れにくい一本です。
JTCウインS1
ニィスフォントの基本角ゴシック体。細身=清潔・現代性、太め=端正とウエイト幅が広く、会話多めの章や脚注にも展開しやすい。かなのふっくら感で視線が流れやすく、縦横どちらの本文でも読み疲れを抑える実用派ゴシック体です。
ファンタジー・創作系 あとがき・装飾用におすすめのフォント
後書き・章扉は“ひとさじ”の装飾で世界観と作者の声を足すのがコツ。
TA-ルビーで可読性を保ちつつ柔らかさ、金魚ランタンで儀式感・象徴性、harmedでダークな余韻を一点投入。本文とは明確に分離し、語数少なめ・字間やや広め・サイズひと回り大きめで使えば、読みやすさを崩さず“あなたの声”が自然に立ち上がります。
TA-ルビー (竹内譲治)
素直で可読性の高い骨格に、さりげない飾り気をのせた書体。あとがきの一文や章扉の短いメッセージに少量だけ添えると“作者の声”がやわらかく立ち上がる。本文と分離運用しやすく、注記・署名風テキストにも好適。
金魚ランタン
ブラックレターを日本語文脈で再解釈した個性派。強く鋭いニュアンスで世界観を一瞬で強調でき、章扉の語句やサブタイトルに一点投入すると効果的。和文見出し+欧文サブの組み合わせで古文書/儀式感を演出。
Charmed
“毒リンゴ”モチーフのゴシサイズド・イタリック体。OpenTypeでリンゴ形の大文字やカリグラフィー風小文字に切替可能 (TTF版の抜粋異体字も同梱)。章扉の英単語・サイン風の一言に使うと、ダークで妖しい余韻を手早く付与できる。
詩・文学系:言葉の余韻を引き立てる美しいフォント
詩や文学作品には、言葉の持つ余韻や情景を静かに引き立てる、上品で美しいフォントが求められます。
詩・文学系:おすすめフォントを使った表紙イメージ
詩・文学系:おすすめフォントを使った本文イメージ
詩・文学系 表紙におすすめのフォント
詩・文学の表紙は、凝明朝体で静けさと品を、KOあおい金陵 Mで古典の格調を、空とひこうきで手書きの温度を添えて“作品の空気”を作ります。タイトルは短めにして文字間を少し広く。副題・説明は細めの角ゴシック体で整えると、全体が落ち着いて読みやすく仕上がります。
凝明朝体
なめらかな形と控えめな強弱で、上品で静かな表紙に。短いタイトルを大きめに、文字間を少し広げると余白が活きます。写真や無地背景のどちらにも馴染みやすい明朝体です。
- Mac&Win対応 OpenTypeフォント
- 収録文字 9,156文字 (漢字 Adobe-Japan1-3、ひらがな・カタカナ・アルファベット・数字・一部の記号)
KOあおい金陵M
古い書物を思わせる骨格で、歴史や古典の雰囲気を自然に演出。和文タイトルに合い、英字も合わせやすいので、英題や著者名を入れる表紙にも便利です。落ち着いたトーンで格を出したいときに。
- Mac&Win対応 OpenTypeフォント
- JIS X0201(半角片仮名をのぞく)およびJIS X0208(第一水準・第二水準)に準拠しておりますので、機種依存文字は含まれていません
空とひこうき
さらりとした手書きの線が、作者の声や体温を感じさせます。ひと言タイトルを少し傾けたり、文字間を控えめに広げる使い方がおすすめ。写真の上にも書き込み風に置けて、親しみやすい表紙に仕上がります。
- Mac&Win対応 TrueTypeフォント
- 収録文字7581文字
ひらがな・カタカナ・アルファベット・数字・一部の記号・一部の縦書き文字・漢字(JIS第一水準・JIS第二水準・IBM拡張漢字)
詩・文学系 本文におすすめのフォント
詩・文学の本文はまず読みやすさが大切。NIS平成明朝体W3は端正でクセが少なく、FGP明治教科書明朝(旧字 同梱)は古典の雰囲気を静かに添え、C&Gれいしっくは丸みでやわらかい空気を作れます。
NIS平成明朝体W3
ノイズの少ない明朝体で、長文でも視線を流しやすい定番。小さめサイズでも字形が崩れにくく、縦組みの小説や解説ページにも向きます。まず迷ったらこれ。
FGP明治教科書明朝 (旧字 同梱)
明治期の教科書活字をもとにした落ち着いた明朝体。新字体に加え旧字も使えるので、人名や古語が出る詩・随筆に安心。静かな格と可読性を両立できます。
C&Gれいしっく
クラシカルな丸ゴシック体。ふところが広くリズムが整うので、随筆・エッセイ調の本文やコラムに好相性。硬くなりがちな紙面をやさしいトーンにできます。
詩・文学系 あとがき・装飾用におすすめのフォント
あとがきや章扉に少しだけ書体を変えると、作者の声がやさしく伝わります。やわらかい余韻ならきなりゴシック、手紙のあたたかさなら大切な人へ体、英字のサイン感ならBanana。短い言葉+文字間やや広め+サイズひと回り大きく、そして本文 (明朝体) はそのままにすると、読みやすさを保てます。
きなりゴシック
華奢で有機的な線がやさしい余韻をプラス。章扉の一言・あとがきの締めに最適。
大切な人へ体 (Std・StdN同梱)
ゆったり描いた線で手紙の温度が出ます。お礼や献辞の一文に。短文限定/整えすぎない行間が◎。本文は明朝体にして役割を分けると上品にまとまります。
Banana
丸みのある現代的スクリプトで英字のサインや章タグに効果的。英字・数字の短い語に絞り、字間やや広め/語数少なめでキレよく。和文の長文には使わず、アクセントに徹しましょう。
ZINE系:ビジュアルと調和するモダンな選択肢
アート作品や写真集には、ビジュアルを邪魔せず、かつ洗練された印象を与えるモダンなフォントが適しています。
ZINE系:おすすめフォントを使った表紙イメージ
ZINE系:おすすめフォントを使った本文イメージ
ZINE系 表紙におすすめのフォント
ZINEの表紙は、写真や作品の邪魔をしない短いタイトルが基本。手書きの温度を出すなら花とちょうちょ、やわらかく太めで存在感を出すならパンダベーカリー、強い個性と圧で一発で見せるならぎっしりフォント。文字間は少し広め/語数は短く、副題や説明は細めの角ゴシック体にすると全体が整います。
花とちょうちょ
右上がりのリズムで手書きの息づかいが出せます。短い言葉を大きめに、文字間は少し広く。写真の上に少し傾けて置くと“書き込み”風に決まります。副題は細めの角ゴシック体でスッと。
- Mac&Win対応 TrueTypeフォント
- 収録文字7581文字
ひらがな・カタカナ・アルファベット・数字・一部の記号・一部の縦書き文字・漢字(JIS第一水準・JIS第二水準・IBM拡張漢字)
パンダベーカリー
太さと丸みでやさしく目立つ見出しに最適。一語〜二語のタイトルを大きく、文字間をやや広げて呼吸を作るのがコツ。重く見えやすいので長い文は避け、説明は細めの角ゴシック体や丸ゴシック体で軽さを足します。
- Mac&Win対応 TrueTypeフォント
- 収録文字7345文字
ひらがな・カタカナ・アルファベット・数字・一部の記号・一部の縦書き文字・漢字(JIS第一水準・JIS第二水準・IBM拡張漢字)
ぎっしりフォント
直線だけの強い個性と圧が武器。一語タイトルの“一点豪華”に向き、語は短く太く。文字間は控えめにして輪郭をくっきり。漢字の収録が限られるので言葉選びを工夫し、副題は端正な明朝体で受けるとバランスが取れます。
- Mac&Win対応 TrueTypeフォント
- 収録文字 3,192文字
ひらがな・カタカナ・アルファベット・数字・一部の記号・漢字(常用漢字+α)
ZINE系 本文におすすめのフォント
ZINEの本文はまず読みやすさが大切。イワタ新ゴシック体はすっきりして縦書きも横書きも安定、友人からの手紙体は短い文に手書きの温度を足せて、イワタUDゴシックL (本文用)は長時間でも目が疲れにくい設計です。
イワタ新ゴシック体
ふところ広めで行間が揃いやすく、写真や図の多いZINEでも読みやすい本文が作れます。縦書き・横書きどちらにも素直に対応。まず迷ったらこれ。
友人からの手紙体 (Std・StdN同梱)
手書きの伸びやかな線で短いコラムや引用に“作者の声”を添えられます。本文すべてに使うより、短文にポイント使いが◎。
イワタUDゴシックL 表示用/本文用 Pro
ユニバーサルデザイン設計で視認性・可読性が高い角ゴシック体。本文には「本文用」を選ぶと、長文でも疲れにくい誌面に。数字や記号も読み取りやすく、注釈・キャプションも同系で統一できます。
ZINE系 あとがき・装飾用におすすめのフォント
あとがきや章扉は“少しだけ雰囲気を足す”場面。やわらかな上品さならタカミーモ R、軽快な動きを出すならかりぐらスキップ、凛とした細い線で静けさを添えるならYasashii Hairline Regular。使い方は短い言葉に限定/文字間を少し広く/本文 (明朝体) はそのままが基本です。
タカミーモ R
直線と控えめなカーブが上品で温かい印象。章扉のひと言や奥付のメッセージに最適。本文より+1pt程度/字間はやや広めで、落ち着いた余韻を作れます。
かりぐらスキップ
カリグラフィーペンの跳ねるような筆致がポイント。あとがきの一文や章見出しに使うと、軽やかなリズムが生まれます。語数は短く/強調語だけ少し大きくすると効果的。
Yasashii Hairline Regular
極細のアール・デコ風で静かに締まるアクセント。短い英字や章タグに向き、字間を広めにすると上品に。長文には向かないので、アクセント使いに徹するのがコツです。
同人誌・ZINE制作でフォントを“安心して”使うためのチェックポイント
同人誌・ZINE制作においてフォントを安心して利用するためには、以下の点を確認することが重要です。
商用利用・ライセンスの確認方法
● 有料フォントの商用可否
有料フォントは多くが商用利用可能ですが、ベンダーごとに規約が異なるため、購入前にEULA(エンドユーザーライセンス契約)を必ず確認。同一ブランドでも製品や提供形態(デスクトップ/Web/アプリ組込み)で条件が違うことがあります。
例: 同一端末内での印刷物作成は追加費用不要だが、アプリやサーバでの自動組版は別契約が必要…など。
● フォントファイルの再配布・改変は禁止が原則
フォントファイルを第三者に渡す・改変して配布は不可。Adobe Fonts等のサブスクでも“画像やPDFの納品は可・フォントファイルの共有は不可”が一般的です。クライアント側にフォント導入が必要な場合は、別途ライセンス購入を案内します。
● ロゴへの使用と商標登録
多くのEULAではフォントを使って作ったロゴ自体の使用は可ですが、商標登録や大規模配布で追加許諾が必要なケースもあります。ロゴ用途・商標登録の可否はEULAの該当条項を必ず確認。
※デザインポケットの商品詳細ページからも「使用許諾契約」を確認可能です。
● 電子配布・組込み系の注意
電子書籍(フォント埋め込み)/アプリ組込み/Webフォント配信は印刷物の利用と別契約のことが多いです。PDFは“印刷用のサブセット埋め込み”が許可、再抽出不可が標準的。
収録文字種・縦書き・欧文対応
● 縦書き・約物の最終確認は必須
三点リーダー、ダッシュ、カギ括弧の縦組み位置、圏点、ルビ周りなど、縦書き実装の品質を校正段階でチェック。長文小説は縦組みバランスが品質に直結します。
● 収録文字数=事故回避の要
一般的な文章はAdobe-Japan1-3/4相当で十分ですが、人名・古典・異体字が多い場合はAdobe-Japan1-6相当が安心。機種依存文字や外字の扱い(外字フォント可否)も事前確認を。
● 欧文の扱い
日本語フォントに収録の欧文は“おまけ”品質のことも。見出しやサブタイトルに英語を使うなら、専用の欧文フォントを組み合わせると統一感が上がる。数字の体裁(プロポーショナル/等幅)やSmall Capsの有無も確認。


