あなたの“推し”フォント TOP5
お好きなフォントということで、まずは【“推し”フォントTOP5】を教えていただければと思います。
はい、よろしくお願いします。
コネクリ様の中での第1位を教えてください。
第1位:Bebas Neue ProDharma Type
縦に長いフォルムのスタイリッシュなサンセリフ体で、視認性も良く、使うだけでワンランク上のデザインに仕上げてくれるフォントです。Bebas Neueは大文字の1書体、Proは小文字やイタリック・太さなど様々なバリエーションがあります。
第2位を教えてください。
第2位:MinionMonotype
汎用性の高いセリフ体で、バリアブルフォントのためウェイトを自由に調整することができます。見出しにも本文にも使いやすく、欧文のセリフ体をデザインに用いる場合、とりあえずMinionを配置して検討するくらい使用頻度が高いです。
第3位を教えてください。
第3位:CopperplateURW Type Foundry
フォルムに上品さと可愛らしさを併せ持つセリフ体で、道を歩けばCopperplateに当たるほど、様々なブランドやコーポレートロゴとして使われていて、ご多分に漏れず大好きです。
第4位を教えてください。
第4位:FuturaMonotype
幾何学的な造形で構成されたサンセリフ体で視認性も良く、世界中のデザイナーが愛するのも納得のフォントです。名前はラテン語で“未来”を指し、フォント名の由来もデザインに説得力を持たせてくれるのも素敵です。
第5位を教えてください。
第5位:DidotLinotype
上品でクールな雰囲気を演出するのに最適なセリフ体の1つです。線幅の太い部分と細い部分の差が大きく、ラグジュアリーなデザインの見出しによく使用されています。
定番ですが外せないフォントを選びました。便宜上1−5位とランク付けしましたがすべて同列です。全部1位ですね。
衝撃を受けたフォント TOP5
ありがとうございます。続いて、【衝撃を受けたフォントTOP5】と、その理由を教えてください
第1位:GanacheLaura Worthington Type
異体字が充実していてスワッシュ・リガチャなども多く含まれているため、好みに合わせて自由に使い分けることができ、簡単な調整で凝った印象のロゴが作成できます。
字形を少し変形させるだけでも、大きく雰囲気が変わりますね。
そうですね。例えば大文字にスワッシュを使って、小文字の字形を変更するだけでもロゴのようにまとまるので、大好きなフォントの一つです。
第2位を教えてください。
第2位:FleurSproviero Type
上品なフォルムで高級感があり、今どきな印象を演出してくれるセリフ体のフォントです。スワッシュも多く含まれていて、エレガントな雰囲気に花を添えてくれます。
個人的にVTuberさんのMVやジャケットデザインが好きでよく見るのですが、そういったアートワークでもこのようなフォントがよく使われていると感じます。とてもトレンド感のあるフォントだと思います。
第3位を教えてください。
第3位:MinaResistenza
細く流れるような線が特徴のスクリプトです。大文字と小文字の大きさに差があり、配置にスペースが必要ですが、手書き風に仕上げたいときのワンポイントのアクセントに最適です。
「とりあえず手書き風のフォントを使いたい」という場合に、まずこのフォントを配置することが多いですね。その後でAdobe Fontsなどで他のフォントを探したりもしますが、とりあえず欧文で手書き風フォントを試したいときの第一候補としてよく使っています。
第4位を教えてください。
第4位:AiryParatype
落書き風のフォントで、Airy RegularとAiry Pictures Regularの2書体があります。Airy Pictures Regularはイラストのみで構成された装飾フォントで猫に一目惚れしました。写真を落書き風のアートに仕上げたい時におすすめです。
ありがとうございます。最後に第5位を教えてください。
第5位:LiquidaResistenza
液体を飛散させたような字形が超個性的です。Photoshopのレイヤースタイルを扱うデザイナーであれば加工したいという欲求が抑えられなくなる恐ろしいフォントです。
レイヤースタイルを適用したpsdデータを配布したこともあります。
こういった個性的なフォントってどういう時に見つけたりしてますか?
僕は暇なときにAdobe Fontsを見ることがあるんですが、たまたまAdobe Fontsのトップページでこのフォントに出会い、衝撃を受けました。
フォントを使う際、どうしても過去に使ったことのある定番フォントに頼りがちですが、なるべく新しい表現やチャレンジをしたいと考えています。
Adobe Fontsのトップページは頻繁に更新されているので、そこで紹介されているフォントから選ぶこともあります。新しいデザインを試したいという気持ちで、トップページで出会ったフォントで試しにデザインを作ってみることも多いです。
一期一会の感覚で新しいフォントを見つけ、それがデザインにうまくハマったときは本当に嬉しいです。
ありがとうございました。
ご自身のことについて
コネクリ様のプロフィールを教えていただけますか?
アプリ・ゲームなどのUI/UXを担当しているアートディレクター兼デザイナーです。
ブログやSNSでPhotoshopとIllustratorのTipsを動画などで発信しています。
個人の仕事として、動画制作・オンラインセミナー・執筆などを行っています。
フォント作りに興味をお持ちになったきっかけ、フォントデザイナーになられた経緯や、書体デザイナーを目指された理由について教えていただけますか。
【朝までイラレ】というイベントで、グラフィティデザインをテーマにしたセッションを行ったんです。作例を作る際、Adobe Fontsで当時グラフィティ風のフォントが少なかったのと、自作フォントを配布したらみんなが喜んでくれるのではないかと思い、フォント制作に取り組んだのがきっかけです。
私もヒップホップとかグラフィティが好きなんですけど、なかなかお洒落なフォントがなくて。ファングッズを作ろうと思った時に結構苦戦した思い出があります。「もっとグラフィティ系のフォントが増えたらいいな」ってファン目線では思ったので、すごいありがたいなと思います。
続いての質問ですが、書体作成の経緯やデザインコンセプトについて、作成当初から完成までの流れをお聞かせください。
移動時間など時間に余裕があるときにiPadを使ってラフ制作するということが多いです。ラフができたらIllustratorで細部の調整して、最後にGlyphsでフォント化します。
1つのフォントを完成させるまでに、どれくらいの時間がかかるものなのでしょうか?
僕の場合は1−2週間程度です。それ以上時間をかけると眠ったままになってしまうことが多いです。
お蔵入りのフォントがいくつもあるってことですか?
はい、あります。
なるほど。ありがとうございます。続いての質問ですが、フォント制作で特に意識をしているところが何かありますか?
自作フォントの一番のファンは自分なので、楽しく制作するため、まずは自分が使いやすいと思うように調整してます。これがうまくハマれば、他のフォントとの差別化やアピールポイントになると思っています。
フォント作りのアイデアやインスピレーションは、どのようなところから得ていらっしゃいますか?
好きなショップや雰囲気の良いホテルにいるときに、フォントを作りたいと思うことが多いです。これはフォントがその空間の一部を形作る重要な要素となっているためインスピレーションが湧くのでは?と考えています。
なるほど。ありがとうございます。続いての質問ですが、【Perori(ぺろり)】はどのようなシーンで使用するのに適しているとお考えですか? また、どのように活用してほしいと思われますか?
グラフィティ風のフォントなので、ロゴや見出しなどでおすすめです。このフォントは丸みがあって可愛らしいデザインなので、例えば音楽関連のデザインや、レトロな雰囲気を演出したい場面などさまざまなシーンで幅広くご使用ください。
なるほど。ありがとうございます。続いての質問ですが、自分のフォントの中で一番気に入ってる (思い入れがある) フォントを教えてください
自作したフォントはすべて気に入っていますが、Yukuraをデザイン制作や自作のグッズで使った時に、すごく良い感じにバッチリはまって、良いフォントだな〜と思いました。この質問、自賛するようで恥ずかしいですね。
とんでもないです、とても大事ですよね。個人的にもグラフィティ風フォントが好きなのもあり、Yukuraを購入してありがたく使わせていただいています。(笑)
本業はゲームのUI/UXデザイナーをされているとのことですが、今回選んでいただいたフォントは、お仕事柄欧文フォントを使う機会が多いことから選出されたのでしょうか?
そうですね。僕はゲームのロゴを作ることが多く、その中でも海外向けのタイトルが多いので、欧文フォントの使い方は重要です。もちろん、ローカライズして日本語のロゴも作りますし、中国向けのロゴを手掛けることがあります。
海外向けの場合、視認性でNGがでることが多いのですが、ゲームなので装飾などの遊びも含みたいため、そのバランスに特に気を使います。
日本語のロゴは英語のロゴとは別のベクトルで難しいと感じることが多いですね。とても感覚的な話で恐縮ですが、日本向けのタイトルは字形をイラストなどのオブジェクトに見立てたりといった変化については寛容な印象です。
一方、文字数が多かったり、字形のバランスが取りづらいといった方向で難しさを感じます。特に平仮名は難易度が高いと思ってます。
逆に日本語でゲームのロゴを作る際に、一番よく使う日本語フォントはありますか?
本当にさまざまなのですが、僕の場合は特徴的なデザインフォントをそのままロゴに使うというより、最初はシンプルなゴシック体からデザインを始めることが多いです。例えば、フォントワークスの「ロダン」ですね。癖のあるフォントだと、それに引きずられてしまうためです。
貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございます。
コネクリさん直筆メッセージ公開!
今回のインタビューで、コネクリさんから直筆メッセージをいただきました!個性的なデザインを手掛けるコネクリさんの美しい手書きも必見です。
また、11月末よりフォント販売もスタート。この機会にぜひチェックしてください!
コネクリさんが執筆された書籍のご紹介