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凝明朝体:言葉に力を、紙面に品を宿す──造形で語る、新しい明朝体
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横画はクリームのようにしなやかに舞い、丸みを帯びた軽快な点は朝露のように鋭く光る。見出しにも本文にも自然に馴染み、紙面に静かな品格と余韻をもたらします。ただ「整った」だけの明朝体とは違い、見るたび・使うたびに、心地よい抑揚と余韻がにじむ。読みやすさと美しさ、どちらも妥協しない、“感覚で選ばれる” 明朝体です。
デザインポケットでは、「凝明朝体」の発売を記念して特別セール開催中!!
2026年1月31日までの期間限定で、通常価格38,800円のところを特別価格15,900円でご提供。この機会に、感性を刺激する文字の世界に触れてみませんか。
目次
「凝明朝体」の概要


- Mac&Win対応
- OpenTypeフォント
- 収録文字:9,156 文字
漢字 Adobe Japan 1-3・ひらがな・カタカナ・アルファベット・数字・一部の記号 - JIS2004字形
「凝明朝体」とは?
台湾で生まれた線が、日本語を美しく整える
──「凝明朝体」ができるまで

繁体字フォント「凝書體」を通じて文字の美しさを追求してきた台湾のグラフィックデザイナー・施博瀚さん。そして、日本語の仮名を設計した書体デザイナー・木龍歩美さん。
言語も文化も異なる二人の感性が交差し、ひとつの日本語書体がかたちを与えられていきました。
しなやかな横画、丸みを帯びた軽快な点。日本語として自然でありながら、見る人の記憶に残る線の流れ。この書体はどのように始まり、どうやって仕上がっていったのか。「凝明朝体」ができるまでの背景と、そのこだわりを、お二人に伺いました。
施博瀚(シー ボーハン)さんのプロフィール
台湾のグラフィックデザイナー。
企業や商品のビジュアルアイデンティティ、ロゴタイプ、サインデザインなど、幅広い分野で活動。近年の代表作に、繁体字フォント「凝書體」や台湾鉄道のサインリニューアルなど。2020年、Adobe Illustratorの裏技を紹介するInstagramの投稿をきっかけに、広く注目を集める。
現在はデザイン事務所「Bohan Graphi©」の代表を務め、2023年に台湾で著書「ロゴデザイン研究所」を出版。
SNS: | 【Instagram】@bohangraphic 【Instagram】@bohanshih |
木龍 歩美さんのプロフィール
書体デザイナー。日本大学芸術学部を卒業後、砧書体制作所を経て2021年にMoolongTypeを設立。主な仕事にYouTubeの日本語コーポレートフォント「YouTube Sans Japanese」の制作、台湾のフォントファウンダリjustfontと施博瀚氏が制作した「凝明朝体」の仮名デザインの担当などがある。
近年リリースしたオリジナルフォントに 「Moolongペイント」「Moolongキャンドル」などがある。賞歴にはD&AD Awards Shortlist、東京TDC賞入選、日本タイポグラフィ年鑑ベストワークなど。
SNS: | 【X】@MoolongType 【Instagram】@moolongtype |
justfontについて
justfont(就是字)は、台湾・台北を拠点とするフォントブランドです。文字の文化的価値を大切にし、書体開発や教育活動を通じて「より良い文字の風景」を追求しています。
2015年には、明朝とゴシックを融合した書体「金萱体(Jin Xuan)」をクラウドファンディングで発表。目標額をわずか76分で達成し、台湾で“文字の価値”を問い直す大きな反響を呼びました。
SNS: | 【X】@justfontcom 【Instagram】@justfont |
書体に導かれた、それぞれの出発点

ロゴと文字の延長にあった、書体への情熱
私はグラフィックデザインを学んだのち、主にブランドアイデンティティの設計に携わってきました。この分野では、ロゴタイプの制作をはじめ、フォントや書体について深い理解が求められます。そのため、以前から「文字」に関するデザインには強い関心がありました。
社会人になってすぐ、ある概念書体のデザイン作品が台湾ゴールデン・ピン・コンセプト・デザイン・アワードで年間最優秀デザイン賞を受賞しました。
この受賞をきっかけに、その書体を実際に商品化したいという思いが芽生え、本格的にフォントデザインの世界へ足を踏み入れることとなりました。

「読む」から「つくる」へ。仮名に惹かれた学生時代
大学でタイポグラフィの授業を受けたことをきっかけに文字を組むことに興味を持ち、文字の形をデザインすることにさらに興味を持ちました。卒業制作でも平仮名をモチーフとした作品を制作しました。
さらに書体デザイナーという職業を知り、縁あって卒業後は砧書体制作所(当時はカタオカデザインワークス)で働くことになり、片岡朗氏の元で書体デザインを学びました。

台湾で生まれ、日本語へ ─── 「凝明朝体」ができるまで

賞をきっかけに生まれた「凝書體」、そして日本語への旅
先ほどの質問でも触れましたが、賞を受賞したその概念書体こそが「凝書體」の前身であり、当時は「凝明朝体」という名前で制作していました。のちに台湾のフォントメーカーjustfontとの協力によりクラウドファンディングで製品化され、「凝書體」として正式にリリースされました。発売後には、多くの高評価をいただきました。
台湾と日本はどちらも漢字文化圏に属しており、私自身、日本文化やデザインに対する関心が強く、かつて日本で語学学校に通いながら1年間日本語と漢字をゼロから学びました。その際、日本の漢字と台湾の繁体字との間にある微妙で興味深い違いに気づき、大きな刺激を受けました。
そうした体験から「凝書體」を日本に紹介したいという想いが生まれ、日本市場向けの仕様に適合させた「凝明朝体」の制作を開始しました。

支援7,000万円超、広がる「凝書體」のある風景
台湾発のフォント「凝書體」は、クラウドファンディングサイト「嘖嘖(Zeczec)」にて驚異的な成功を収め、約1,806万ニュー台湾ドル(7,000万円超)を調達。これは台湾のフォントプロジェクト史上の中でも特出した支援額であり、多くの支援者がこの美しい明朝体に共感を寄せました。
デザイン性の高さと実用性が両立するこの書体は、その後の販売を含め、1万人を超える多くの支持を集め、国内外で大きな話題となり、商用・公共の現場での採用にもつながっています。

「凝書體」は、台湾の高感度なブランドやデザイナーから支持を集め、さまざまな商品パッケージに採用されています。食品やコスメ、日用品など、ジャンルを問わず繊細で上質な印象を与える書風が評価され、商品イメージの格上げに貢献しています。
また、街頭広告などのポスターでも活用され、視認性の高さと印象に残る佇まいが、メッセージの品格と説得力を高めています。

「凝書體」は、読みやすさと気品を兼ね備えた明朝体として、見出しにも本文にも自然に馴染み、広告物以外にも幅広い媒体で活用されています。書籍の装丁や本文に使用され、紙面に深い余韻と静けさをもたらします。
その美しさは公的な場でも認められており、2020年には蔡英文総統がSNSでのメッセージを発信する際のビジュアルにも使用。デジタル空間でもその品格は揺るがず注目を集め、有名企業もSNSの情報発信に「凝書體」を採用しています。
台湾と日本の感性が交差する、書体づくりの現場から

「日本語として自然であること」を求めて、仮名は日本人の手で
台湾と日本は共に漢字文化圏にありますが、特に仮名については、日本のデザイナーのほうが造形的な理解や美意識の点で優れていると私は考えています。
私たちが目指した「凝明朝体」は、日本の方々が自然に使える日本語書体であるべきだと考えました。
そこで、仮名のデザインを日本人デザイナーである木龍さんにお願いし、木龍さんの専門性と審美眼に支えられて、台湾と日本の協働によるこのプロジェクトがより完成度の高いものとなりました。

justfontとの縁、そして「凝書體」との出会い
justfontからお声がけいただき、「凝明朝体」の制作に携わることになりました。以前、砧書体制作所に在籍していた頃からjustfontとは交流があり、ご縁を感じました。
博瀚さんとは初めましてだったのですが、グラフィックデザイナーとしてご活躍であり、書体も作られている情熱あふれる方だなと思いました。
「凝書體」は縦画と横画のコントラストが控えめながらも、重心が高くエッジの効いた終筆が上品さを際立たせている、新しさと魅力ある書体です。この日本語版に携われることはとても光栄でした。
実際に台湾に訪れると「凝書體」はそこかしこで使われており、これを日本でもという思いをより具体的に体感し、私自身も襟を正して取り組みました。

細部に込めた思想──凝明朝体のこだわりのポイント

- 伝統的な印刷書体に近い外観デザインを目指す。
- 日本語の漢字の追加および修正を行う。
- 見た目が似ている漢字でも、それぞれのバージョンで与える視覚的な印象は微妙に違ってくる。

純粋な中国語の組版において、視覚的に流れのある読み心地を実現するために、「凝書體」の漢字はフトコロをややタイトに設計しています。
一方「凝明朝体」は、文中で大きな役割を占める仮名との調和をとるために、フトコロをゆったりと設計しています。
“同じに見えて違う”文字──日本語の環境に合わせた微調整
私がもっとも重視したのは、「凝書體」の筆画のスタイルや造形言語を、日本語版の「凝明朝体」においても忠実に再現できるかという点です。繁体字の漢字のみで構成される場面と、仮名と混在する日本語環境での見た目の一貫性を保つことは、大きな課題でした。
また、漢字の造形においては、日本語の使用環境を考慮し、筆画の間隔を微調整したり、日本で一般的とされる書き方に準じた仕様に見直したりしました。
結果として、「凝書體」と「凝明朝体」で一見同じに見える文字であっても、よく見ると細かな違いがあるのが特徴です。


文章の7割を占める仮名に、調和と静けさを込めて
日本語の文章は7割方が仮名です。「凝書體」と「凝明朝体」とで一貫性を感じられるには、いかに漢字と調和をする仮名をデザインするかが重要でした。
「凝明朝体」の仮名は、ゆっくりと落ち着きのあるストロークと、丸みを帯びた軽快な「点」が特徴で、この「点」は漢字と仮名の調和を象徴しています。
本来の仮名のストロークや転折は活かしつつ、筆のつながりを抑えることで文字のシルエットが明確になり可読性を高めています。

これから描く書体の未来へ

この出会いを糧に、次なる書体へ
今後もブランドデザインやグラフィックデザインの仕事を継続しつつ、フォントデザインの分野でも新しい挑戦を続けていきたいと考えています。
いつかまた、台湾や日本の皆さんに楽しんでいただけるような新しい書体をお届けできたら嬉しいです。

博瀚さんとjustfontのみなさんと一緒にフォント制作ができたことは本当に素晴らしい機会でした。ここで得られた刺激をもとに、今後も新たなフォントを制作してまいりますのでぜひご注目ください!

「凝明朝体」の特徴
横画の終わりが、クリームのようなしなやかなさ

凝明朝体のもっとも特徴的な部分は、横線の終わり(終筆)です。
通常の明朝体でいうところのウロコの部分が、まるで絞り出したクリームのように、ゆるやかに反り返るような形状になっています。
このわずかなカーブが、文字全体にやさしさと流れを生み出し、読み手の視線を自然に導く効果を持っています。
丸みを帯びた軽快な「点」が、文字に芯を与える

凝明朝体には点(てん)にも強いこだわりがあります。
朝露のようにピンと鋭く、丸みを帯びた軽快な点画は、小さなパーツながら全体の引き締め役となっており、メリハリのある印象を作り出します。
やわらかい横画とのコントラストが効いていることで、文章全体がぼやけず、適度な緊張感を保っています。
仮名のしなやかさと統一感

日本語の美しさを支える仮名文字。
凝明朝体では、日本人デザイナー・木龍歩美さんが仮名を設計しており、漢字とのバランスやリズム感が非常に自然です。
仮名だけでもどこか表情があり、文章全体にやわらかさと一体感を与えます。ひらがなに多く含まれる“はらい”や“そり”も美しく仕上がっており、読んでも眺めても心地よい組み上がりになります。
欧文や数字もなじむ、美しい混植対応


現代のデザインでは、日本語・英語・数字が混ざる場面が多くあります。
凝明朝体は、欧文や数字もトーンを揃えて設計されているため、ブランド名やキャッチコピー、ラベル・パッケージなどで使っても、どの言語も違和感なく一体化します。
フォント1種で全体のデザインが成立するため、文字のトーンを揃えたいプロにも重宝される設計です。
本文にも使える文字数と字形設計

凝明朝体は、Adobe-Japan1-3に準拠したStd仕様のフォントです。
約9,100字を収録しており、日常的な文章表現からプロフェッショナルな編集用途まで幅広く対応します。
また、字形はJIS2004字形を採用しており、現在の日本語環境において標準とされるフォント設計に沿っています。旧字形との差異が気になる印刷・出版の現場でも安心してお使いいただけます。
「凝明朝体」の使用例
SNS投稿(広告・ブランディング投稿など)
余白が語る、ブランドの格。
SNSでも「文字の美しさ」が伝わる静かなインパクトを。
凝明朝体は、キャッチコピーやブランドメッセージに、品と余韻を添えます。

チラシ(展示・イベント・販売告知など)
言葉の佇まいが、場の空気を変える。
上質な催事・文化イベントの告知に。
凝明朝体は、伝えたい内容に品格と視線をもたらします。

パッケージ・ロゴデザイン
ひと目で伝わる、上質の記憶。
ロゴや商品名の“顔”としての明朝体。
凝明朝体なら、伝統と現代が共存する品あるビジュアルが生まれます。

装丁デザイン
読む前から、美しい。
書籍の佇まいを整える、文字の装い。
凝明朝体は、表紙にも本文にも自然に馴染み、作品に深みを添えます。

「凝明朝体」の使用許諾
柔軟な使用許諾で、チラシやポスター、商品パッケージ、同人誌などの紙媒体だけでなく、Webサイト、ロゴデザイン、YouTube用の動画や動画広告、プロモーション用動画など、ビジネス・趣味を問わず幅広い用途でお使いいただけます。

印刷 | 映像 | Web | ロゴ | Webアプリ | ゲーム・アプリ |
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◯ | ◯ | △※1 | △※2 | ×※3 | ×※4 |
※1 | 画像化して使用する場合のみ可。フォントファイルを直接Webに埋め込むことはできません |
※2 | ロゴタイプの制作については特別な許可は不要ですが、商標登録する場合は別途ライセンス契約が必要です。 |
※3 | フォントファイルのアップロードは不可。組み込みの場合は、別途ライセンス契約で利用が可。 |
※4 | 単一の静止画像(例えばメインビジュアルやサンプル画像内の補足テキスト)での使用は可。インターフェースや主要な本文として使用する場合は、ファイル組み込み・画像化の区別なく、別途ライセンス契約が必要。 |
「凝明朝体」の仕様





- Mac&Win対応
- OpenTypeフォント
- 収録文字:9,156 文字
漢字 Adobe Japan 1-3・ひらがな・カタカナ・アルファベット・数字・一部の記号 - JIS2004字形