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Helvetica (ヘルベチカ) は欧文フォントの定番中の定番
「迷ったらHelveticaさえ押さえておけば大丈夫」と言われるほど、世界中で愛される定番中の定番フォントです。
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目次
Helvetica (ヘルベチカ) とは
Helvetica (ヘルベチカ) は、1957年にスイス人タイプフェイスデザイナーのマクス・ミーディンガーとエドゥアルト・ホフマンが発表した、グロテスク・サンセリフに分類されるサンセリフのローマ字書体です。簡素で落ち着いた書体でありながら説得力に富む力強さが特長で、用途を選ばない幅広い汎用性があります。現在、最も使用されている書体の一つで、出版や広告の業界では必要不可欠な書体です。
Helvetica (ヘルベチカ) の歴史
Helveticaのもともとの字形は、ライノタイプ自動鋳造植字機向けでした。Helveticaは人気があり、長い年月の間に拡張され、ウェイトのバリエーションも増えましたが、ウェイト・バリエーション間で調和は取れていませんでした。1983年、ステンペル社はライノタイプ社向けにHelveticaをデジタル改刻したNeue Helveticaを制作し、フォントファミリーを拡張しました。現在は51種類のウェイトで構成されています。
現在、Neue Helveticaは、新たなスタンダードとなっています。時代を感じさせず、ニュートラルであらゆるコミュニケーションの場面に使えるNeue Helveticaは、まさにサンセリフ体の定番中の定番といえます。
Helvetica (ヘルベチカ) シリーズの特徴
Helveticaの最大の特徴はわかりやすく、すべての人に対して読みやすく、シンプルな美しさを兼ね備えています。デザイン自体には癖もなく何にでも合わせることができます。このような特徴から、ロゴデザインに限らず、世界中の空港や駅にも数多く使用されています。
1. Helvetica (ヘルベチカ) 【Linotype】
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広く使用されているサンセリフ欧文書体。ファミリー名は「Helvetica」。
エックスハイト (小文字のxの高さ) が高く、カウンター (直線や曲線の字画に囲まれた内側の空間) が広く、「C」「S」などの字画が末端が水平なのが特徴です。文字間のスペースが狭いため効率よく文字組ができます。
2. Neue Helvetica (ノイエ・ヘルベチカ) 【Linotype】
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Macのシステムフォントに採用されたこともある「Neue Helvetica」は、ライノタイプ社が1983年にデジタル・フォントとしてHelveticaを改刻し、斜体や太さの違いなど51種類をファミリー化した書体。モノタイプ社とアドビシステムズ社から出ているものは,「Helvetica Neue (ヘルベチカ・ノイエ)」となります。
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3. Helvetica Now (ヘルベチカ・ナウ) 【Monotype】
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スマートフォンの小さい画面など使用環境に合わせて「Micro」「Display」「Text」の3種類が用意され、Microは4から7ポイントでも読みやすいように線の間の空間を大きくとり、カーニングも広めに設定してます。
Displayは、14ポイント以上での使用を想定してバランスが整えられています。Textは幅広く使えるようにデザインされ、視覚的な情報が多い状況で視認性を上げるために、スペースを多めに設けています。
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Helvetica (ヘルベチカ) の類似・代替えフォント
- Arial (アリアル)
- Swiss 721 (スイス721)
- Neue Haas Grotesk (ノイエ・ハース・グロテスク)
- Nimbus Sans (ニンバス・サンズ)
- Open Sans (オープン・サンス)
1. Arial (アリアル) 【Monotype】
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Helveticaと類似し文字幅はまったく同じですが,細部のデザインが異なります。デザインが異なる文字は,スプアと呼ばれる突起がない“G”、テールが長い“R”、テールがない“a”、入り抜きが傾斜した”t”などです。
HelveticaがインストールされていないWindowsシステムでは、代用書体として重用されています。WindowsでHelveticaを指定するとArialで代用されることがあり、逆にプリンタにHelveticaが内蔵されている場合,Arial指定が印刷時にHelveticaに置き換わることもあるなど、代替書体の利用時には注意が必要です。
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2. Swiss 721 (スイス721) 【Bitstream】
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「Swiss 721」は、1982年に開発されたビットストリーム社のHelveticaの代用書体。ファミリー名は「Swis721 BT」です。
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3. Neue Haas Grotesk (ノイエ・ハース・グロテスク) 【Linotype】
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Helveticaは「Neue Haas Grotesk (ノイエ・ハース・グロテスク)」という名前で発売されていました。これは、「新しいハース鋳造所のグロテスク・サン・セリフ体」という意味です。
のちに、ヨーロッパ・アメリカへの販促拡大を目的としてライノタイプ社が、ラテン語でスイスを意味する「Helvetica(ヘルベチカ)」という名前に改名し爆発的なヒットとなりました。
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4. Nimbus Sans (ニンバス・サンズ) 【URW Type Foundry】
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URW++社の「Nimbus Sans L」は Helvetica に基づくデザインです。
5. Open Sans (オープン・サンス) ※Googleフォント
Helvetica類似のGoogleフォントです。
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Helvetica (ヘルベチカ) を使用した企業ロゴ (コーポレートタイプ)
Panasonic (パナソニック) |
Microsoft (マイクロソフト) |
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TOYOTA (トヨタ) |
Jeep (ジープ) |
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三菱電機 | MUJI (無印良品) |
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3M (スリーエム カンパニー) |
FENDI (フェンディ) |
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American Airlines (アメリカン航空) |
Lufthansa (ルフトハンザ航空) |
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DB (ドイツ鉄道) |
evian (エビアン) |
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Francfranc (フランフラン) |
岩谷産業 |
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川崎重工業 | オリンパス |
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Helvetica (ヘルベチカ) は映画や漫画にもなっている
Helveticaは、長年人びとを魅了し続けている書体のひとつ。熱狂的なファンが多く、映画や漫画になるほど人気があります。
【映画】ヘルベチカ ~世界を魅了する書体~ (2007年製作)
ヘルベチカは、地下鉄で行くべきホームを案内し、朝刊の広告の中で投資を売り込み、休日の旅行に誘っている。テレビで最新ニュースを届け、職場のドアは「押す」のか「引く」のかを知らせている…。
何百万もの人々が毎日ヘルベチカを目にし、使用しているのは「なぜ」なのか? そして、それが広く普及したことによる影響は? 我々は、日々の生活の中で、書体とどのように接しているのか? テクノロジーは書体やグラフィックデザインに影響を与えるのだろうか? そして、我々は書体をどのように消費しているのだろうか?
グラフィックデザインと書体についての優れたドキュメンタリーフィルムが誕生した!
【漫画】となりのヘルベチカ マンガでわかる欧文フォントの世界
芦谷國一さんが2016年に刊行した同人誌『書体研究サークル』をもとに新作漫画として描き下し、タイポグラフィなどの研究者である岐阜大学の山本政幸准教授が監修しています。